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脳神経外科

用語解説

脳卒中

日本人の3大疾病の一つである脳卒中とは、脳の血管になんらかの障害が突然起こることによって発病する病気の総称です。我が国の脳卒中による死亡者は、年間約13万人で死亡原因の第4位、寝たきりとなる原因の第1位を占める重大な疾患です。 「脳卒中」にはいくつかの種類があり、主として脳梗塞、脳内出血、クモ膜下出血に分けられます。
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脳梗塞

脳卒中のうち、脳の血管が詰まり血液が流れなくなり、脳組織が酸素欠乏や栄養不足に陥って、その部位の脳組織が壊死してしまうものを脳梗塞と言います。脳卒中の約7割を占める脳梗塞の急性期治療は、点滴や内服治療により脳梗塞の拡大を防ぐ治療が中心です。しかし近年、rt-PA静注療法や脳血管内治療による血栓除去術のような超急性期治療の有効性が示され、当センターでも積極的に取り組んでおります。
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脳梗塞に対する超急性期治療:rt-PA静注療法

詰まった脳血管を早期に再開通させると脳梗塞になる脳の量を減らすことができ、その結果、麻痺や言語障害などが改善したり劇的に回復することもあります。現在、脳梗塞による麻痺や言 語障害など症状が起こってから4.5時間以内であれば、rt-PA(recombinant tissue-plasminogen activator:組織プラスミノゲン活性化因子)製剤による血栓溶解剤療法(rt-PA 静注療法)の対象となる可能性があります。 ただし、rt-PA 静注療法は脳梗塞を治す治療ではなく詰まった血管を再開通させる治療なので、発症から4.5時間以内であっても、すでに広範囲な脳梗塞が出来ている場合には、脳梗塞内の出血(出血性梗塞)を起こす危険性も高くなり適応とはなりません。この治療の適用には、脳卒中専門医など脳卒中の診療経験が豊富な医師による慎重な判断が必要です。
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脳梗塞に対する超急性期治療:血栓回収療法

rt-PA 静注療法の適応にならなかった超急性期の患者様、あるいはrt-PA 静注療法を行ったにもかかわらず脳卒中症状が改善しない患者様で、脳卒中発症から8時間以内に脳の主幹動脈(太い動脈)が閉塞した患者様に対し、適応があればカテーテルによる血栓回収療法を行っています。ただし、固い血栓や大きな血栓などで血栓が回収できないことや、再開通できてもすでに脳梗塞が完成してしまい症状が改善できないこともあります。
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●右中大脳動脈閉塞:カテーテル治療により完全再開通

右中大脳動脈閉塞

●内頚動脈狭窄症:ステント留置術

右中大脳動脈閉塞

脳内出血

脳内出血とは、突然脳の実質内に出血を起こした状態で脳卒中の約10%を占めます。脳内出血の約60%は高血圧が原因で起こります。死亡率は全体で26%に達し、生存者の70%は何らかの後遺障害を残します。症状は出血の生じた場所によりますが、意識障害や片麻痺、失語症など様々です。治療は血圧管理や止血剤の投与など内科的治療が中心ですが、出血量が多ければ手術が必要となることがあります。手術方法としては、全身麻酔下に頭蓋骨を一部開けて脳内血腫を取り除く方法(開頭脳内血腫除去術)や、局所麻酔下にCTで血腫の位置を正確に計測し、頭蓋骨に小さな穴を開けて血腫を吸引除去する方法(定位的脳内血腫除去術)などがあります。いずれの治療も脳内出血により壊れてしまった脳を治す治療ではなく、脳損傷のさらなる悪化を防ぐことで脳の状態を少しでも良い状態とし、リハビリの効果を最大限に引き出すことを目的としています。
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クモ膜下出血

突然の頭痛や意識障害などで発症するクモ膜下出血は、脳の動脈の分岐部にできたコブ(脳動脈瘤)が破裂することによって生じます。一度破裂した脳動脈瘤は再破裂を繰り返して患者様の状態を悪化させます。そのため、急性期治療の第一段階は再破裂を予防することにあります。治療方法としては、開頭による脳動脈瘤頚部クリッピング術や脳血管内治療による脳動脈瘤コイル塞栓術があります。当センターではいずれの治療も可能であり、脳動脈瘤の部位や形状、患者様の状態に応じて、より適切な治療を選択します。
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開頭脳動脈瘤頚部クリッピング術

全身麻酔下に頭蓋骨の一部をはずし、脳の表面を露出して顕微鏡下に脳の溝や骨との隙間を少しずつ開き動脈瘤に到達します。動脈瘤の根元に金属性のクリップをかけて動脈瘤内へ流入する血流を遮断し、再出血を予防しようとする治療方法です。この手術は、脳動脈瘤の再破裂予防として確実性が高く、手術手技も確立されています。
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●内頚動脈瘤:クリッピング術

クリッピング術

脳動脈瘤コイル塞栓術(血管内治療)

カテーテル(細いチューブ)を足の付け根の動脈から挿入し、レントゲン透視下にカテーテルを頚部の動脈まで誘導します。このカテーテル内にマイクロカテーテルと呼ばれる非常に細いチューブを通し、脳動脈瘤内まで到達させます。このマイクロカテーテルを通して、塞栓物質(極めて細いプラチナ製コイル)を動脈瘤の中に詰めこみ、動脈瘤内に血液が流れ込むのを遮断することで再破裂を予防します。
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●遠位部前大脳動脈瘤:コイル塞栓術

コイル塞栓術

脳腫瘍

脳腫瘍とは頭の骨(頭蓋骨)の内側に生じる出来物(腫瘍)です。頭痛、嘔吐、目の見えにくさなどが代表的な症状で、これは頭蓋内圧亢進症状と呼ばれます。けいれん発作も脳腫瘍の初発症状として重要です。これらの一般的な症状に加えて、脳腫瘍の発生した部位の働きが障害され、手足の麻痺や言葉の障害、性格変化など様々な症状が出現します。無症状の場合は経過観察されることもありますが、治療を必要とする場合には手術が基本となります。悪性腫瘍に対しては、放射線治療、化学療法などの補助療法を組み合わせた集学的治療を行います。
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●神経膠芽腫:脳腫瘍摘出術

腫瘍摘出術

機能的疾患

顔面けいれんや三叉神経痛などの機能的疾患に関しても、内科的治療でコントロールが困難となった場合には外科的治療を行っております。
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頭部外傷

慢性硬膜下血腫や急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫など、外科治療を要する重症頭部外傷に関しても24時間体制をとっております。重症高エネルギー外傷に関しては、中河内救命救急センターとも連携をとって協力体制で治療を行っております。
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水頭症

水頭症とは何らかの原因によって脳の周囲にある水(髄液)の循環・吸収障害が起こり、その結果、脳室の異常拡大が生じたものです。脳内出血やクモ膜下出血などによって生じる二次性の水頭症や特発性の水頭症があります。急激に起こった水頭症では意識障害が生じるため、緊急で脳室ドレナージ術が必要です。また、徐々に起こる水頭症でも、認知症に似た症状や歩行障害、尿失禁などを生じる正常圧水頭症に対しては手術加療を行います。
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